主な対象疾患

手荒れ

手湿疹とも呼ばれるもので、水仕事をする方(家事、調理師、理美容師 など)に起きやすいとされる皮膚症状の一つです。皮膚が洗剤や石鹸といった刺激によって、手が全般的に赤みを帯びるなどして乾燥することにより、皮膚より角質が剥がれるなどして、ひび割れやかゆみ、痛みなどの症状がみられるようになります。原因が特定していれば、水仕事の際手袋を装着するなどしていきます。

ニキビ

正式には「尋常性ざ瘡」と呼ばれる皮膚疾患です。主に思春期のアンドロゲン(男性ホルモン、女性にも分泌されている)の分泌過剰によって、皮脂の分泌も過剰になって、細菌も増殖するようになります。これらによって面皰が形成され、毛穴が詰まるなどします。そして毛包内で細菌(アクネ菌 等)が増殖することで炎症が起きるようになります。なお思春期だけでなく、青年期(20代以降)でもみられますが、この場合は不規則な生活、ストレス等によって引き起こされます。主な症状は、丘疹(赤い膨らみ)、膿疱(膿の塊)、色素沈着などです。発症しやすい部位は、皮脂が過剰分泌しやすい顔、胸、背中などです。

アトピー性皮膚炎

強いかゆみと湿疹がみられ、良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚疾患です。アトピー素因(アレルギー症状を起こしやすい体質)、あるいは皮膚のバリア機能低下等をきっかけに発症するようになるのではないかと言われています。年齢によって発症部位が異なり、生後2ヶ月を経過した頃から発症するようになります。これまでは、成長と共によくなっていくと言われていましたが、最近は成人になっても持続する、成人になってから発症するというケースも増えつつあります。そのため環境や食生活などいくつか原因が挙げられていますが、現時点では特定されていません。

湿疹

湿疹とはいわゆる皮膚炎のことで、原因が特定できない肌の赤みやかゆみ、ブツブツ(小さな水ぶくれ等)、さつきといった症状を総称した呼び名になります。アトピー素因、ストレス、皮膚バリア機能の低下といった内的要因のほか、薬剤、金属、食物、植物、ハウスダストなどいくつかの刺激が重なって起きることがあります。

蕁麻疹

蕁麻疹は、何の前触れもなく皮膚の一部にかゆみを伴う赤い膨らみ(丘疹)が現れるようになります。ただ24時間以内には跡形もなく消えてしまいます。症状が続く場合は、この状態が繰り返されるようになります。原因としては、アレルギーによるもの(食物、植物、薬剤 等)、非アレルギー性、特定の物理的な刺激(機械性じんましん、日光じんましん、温熱じんましん 等)によって引き起こされることもあります。ただ7割程度のじんましん患者さんが原因不明の特発性じんましんです。この場合、発症から6週間未満で症状が治まる場合は急性じんましん、6週間以上経過しても治まらない場合は慢性じんましんと診断されます。

赤ら顔

主に中高年世代に発症するとされ、顔面とくに眉間、鼻の周囲、頬といった部位を中心に赤くなる、小さい吹き出物がみられるなどします。これは、慢性的な炎症疾患によるものと言われますが、現時点で原因は特定できていません。ただ、紫外線の影響、ストレス、アルコールといったものが状態を悪化させるのではないかと言われています。

なお赤ら顔(酒さ)と言っても、発症の種類としては3つに分けられます。1つは紅斑性酒さと呼ばれるタイプで、鼻や頬の周囲に発赤、かゆみなどの症状がみられるほか、毛細血管の拡張、脂漏やフケなども現れます。飲酒や寒暖差によって、さらに症状が悪化することもあります。次は、酒さ性座瘡というタイプで、ニキビのような症状(赤くなっている丘疹、膿疱 など)が顔全体にみられている状態です。3つ目は鼻瘤というもので、鼻が赤くなっているほか、丘疹が集まって鼻頭周囲に表面が凸凹している皮がズル剥け状態の腫瘤が確認できます。このほかにも角膜炎や結膜炎などの眼症状が併発していることもあります。

アレルギー

アレルギーと聞くと、花粉症などでみられる、くしゃみや鼻水・鼻づまりや喘息による咳込みなどを思い浮かべる方もいるかと思いますが、このような症状は、人の体内で作られる免疫という機能が体内へ入ろうとする異物(抗原)を排除するための防御反応でもあります。
免疫(反応)とは、体内に侵入しようとする病原体(細菌、ウイルス 等)などの抗原に対して、結びついて免疫グロブリンというたんぱく質(抗体)を作ることで、異物を撃退していく抗原抗体反応のことを言います。これが花粉や食物など本来であれば有害でないとされるものにまで抗体を作り、それによって身体が異物であると認識することにより、防御反応をとるようになって、過剰に反応している状態というのが、アレルギー性鼻炎、花粉症、気管支喘息、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患になります。

花粉症

花粉がアレルゲン(アレルギーの原因)となって、アレルギー症状が現れている状態です。
アレルゲン(花粉)が鼻の粘膜にくっつくことで、これを排除しようとくしゃみ、鼻水・鼻づまりが引き起こされます(アレルギー性鼻炎)。また目の表面に花粉が付着することで、アレルギー性結膜炎も引き起こされるようになります。これによって目の充血、かゆみ、流涙、目の中がゴロゴロするなどの症状がみられるようになります。上記以外にも、咳、喉のかゆみ、口内にしびれ、肌荒れなどが現れることもあります。
原因となる花粉には、スギやヒノキ以外にも、シラカバ、ヒノキ、ケヤキ、ブタクサ、ヨモギなどで発症することもあります。そのため、花粉症は飛散時期限定の症状と言っても、人によっては春先ではなく、初夏や秋の季節に発症する患者さんもいます。

虫刺され

蚊、虻、蜂、ノミ、ブユ、マダニ等の虫に刺される、あるいは咬まれるなどして発症する皮膚炎のことを総称して虫刺されと言います。主な症状は、痛み、かゆみ、腫れ、赤み、などです。なお蜂に関しては繰り返し刺されると、その毒成分に対するアレルギー反応が出て、アナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。小さなお子さんの場合、無意識であっても掻きむしる傾向があるので、知らず知らずのうちに症状を悪化させるケースもあるので注意が必要です。

尋常性乾癬(かんせん)

尋常性乾癬とは、乾癬の中で最も多い種類であり、全体の約7~8割を占めると言われております。
症状としては、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に乾燥した白いフケのようなものができ、ポロポロと剥がれ落ちます。頭の皮膚を含め全身のどこでもできますが、肘や膝、すね、腰臀部、背中などのこすれる場所にできやすい特徴があります。
原因としては、ストレス、アルコール、食生活、たばこ、感染症、外傷、薬剤、乾燥や肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化性疾患などがあります。

帯状疱疹

これまで水ぼうそうに罹患したことがある方のみが発症する病気です。同疾患の発症原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうによる症状が治まった後も体外へ排出されることはなく、神経節に潜伏し続けています。

そのウイルスというのは、肉体的・精神的なストレスや過労、加齢などによって体内の免疫力が低下するようになると活性化するようになります。それによって一定の神経支配領域に沿った形で、疼痛(ピリピリした痛み 等)をはじめ、赤みや水ぶくれ(最終的には痂疲になっていきます)がみられるようになります。ただこの場合、神経支配領域というのは左右で分かれており、発症する際は左右のどちらか片側に帯状になって現れます。なお皮膚症状については、3週間程度で治まっていきますが、痛みについては残ってしまうことがあります。この状態(痛み)が発症してから3ヵ月以上経過している場合は、帯状疱疹後神経痛(PHN)と診断され、痛みをとるための治療が必要になります。

診断をつけるにあたっては、主に患者さんの訴えや皮膚症状をみるなどして、発症の有無を確認していきます。

治療に関して、主に抗ウイルス薬の内服、あるいは点滴になります。痛みの症状がある場合は、痛み止めとして、アセトアミノフェン、NSAIDsなどを使用していきます。また50歳以上の方につきましては、あらかじめ発症を予防する効果があるとされる帯状疱疹ワクチンを接種することもできます(任意接種なので全額自己負担)。接種によって、帯状疱疹後神経痛の発症リスクも低減されるようになります。

多汗症

必要以上に汗を掻いている状態を多汗症と言います。この場合、全身が汗びっしょりの全身性多汗症と局部に限定(手のひら、腋、足の裏 等)して多量の汗を掻く局所性多汗症に分けられます。さらに原因が特定できない原発性と他の病気に罹患していることなどが原因の続発性に分類されます。

全身性多汗症では、続発性のケースが大半です。この場合、甲状腺機能亢進症(バセドウ病 等)をはじめ糖尿病、膠原病、何らかの神経疾患といった病気が挙げられるほか、肥満や薬剤の影響もあります。一方、局所性多汗症は原発性と続発性の両方の可能性がありますが、前者では主に運動や緊張によって交感神経が興奮するなどして、顔面多汗症、掌蹠多汗症(手のひらや足の裏に汗をたくさん書く)、腋窩多汗症等がみられるようになります。一方、後者は主に何らかの病気に罹患することで部分的に多量の汗を掻くようになります。具体的には、フライ症候群や皮膚疾患(エクリン母斑 等)、末梢神経障害などの患者さんに発症しやすいと言われています。

多汗症と診断されて行われる治療法ですが、原因疾患が特定されている続発性の多汗症の患者さんは、原因疾患の治療が優先されます。また原発性の局所性多汗症の患者さんでは、多量の発汗がみられている部位に塩化アルミニウムの外用薬を塗布していく、あるいは汗の出やすい部位に向けて微弱な電流を流すことで、発汗を抑制していくイオントフォレーシスもあります。また上記以外にも、多汗部位にA型ボツリヌス毒素の薬剤を注入し、交感神経からの発汗指令を遮断させることで、発汗の抑制に効果がみられるとされる局所注射による治療法もあります。

水虫

主に足の裏や足の指の間に白癬菌(カビの一種)が感染し、発症している状態を水虫と言います(正式には足白癬)。感染経路としては、スリッパの使い回し、足ふきマットの共用などが挙げられますが、白癬菌が足に付着しても感染するまでには24時間程度の時間が必要です。ただ足裏に小さな傷などがあれば、その半分程度の時間で感染することもあります。

水虫は大きく3つのタイプ(趾間型、小水疱型、角質増殖型)に分けられます。趾間型は足の指の間に症状がみられ、赤くなる、水疱ができる、皮がボロボロ剥けるなどします。かゆみを伴うことが多く、爪を立てて掻くなどして悪化させることもあります。小水疱型は、土踏まず、足指の付け根、足の外側に小さな水疱が多発するほか、それらが潰れるなどすれば乾燥して、皮がポロポロと落ちるようになります。かゆみは水疱の発生時に現れます。また角質増殖型は、稀に起きるタイプです。これは足の裏やかかとが角質化していくほか、鱗屑もみられるようになります。

巻き爪

足の指(とくに親指)の爪が、何らかの原因で巻かれた状態になってしまうのが巻き爪です。この巻かれた爪が、皮膚に食い込んでしまうと陥入爪と診断されます。原因に関しては、靴による圧迫、スポーツを激しく行う、開帳足や外反母趾に伴って起きるということもあります。主な症状ですが、爪の周囲に炎症や肉芽などがみられるようになります。また化膿するなどして痛くて歩けなくなることもあります。

炎症や肉芽が形成されている場合は、ステロイド系の外用薬や抗菌薬の内服による薬物療法となります。また巻き爪そのものの治療には、保険診療と自費診療があります。自費診療のひとつであるVHO式は、爪の左右にワイヤーを引っ掛け、これを爪の中央に巻き上げていくことで、丸まろうとする力を逆に利用して矯正していく治療法になります。装着期間は1年程度必要とされ、3ヵ月に1度の間隔で通院し、ワイヤーを替える必要があります。

円形脱毛症

毛器官の疾患(AGA、抜毛症 など)のひとつで、何の前触れもなく境界がはっきりした円形(コイン状)の脱毛斑が現れる状態を円形脱毛症と言います。脱毛斑の数については単発もあれば、多発することもあります。大きさについては様々です。このほか、全ての頭髪が抜ける(前頭脱毛症)、頭髪だけでなく全身の毛が抜ける(汎発性脱毛症)、側頭部から後頭部にかけて帯状に脱毛する蛇行性脱毛症も円形脱毛症の種類になります。

発症の原因については、自己免疫疾患やストレスが関係していると言われていますが、完全には解明されていません。

治療に関してですが、単発型や脱毛斑が2、3ヵ所程度で範囲が狭い場合は自然と治癒するのを待ちます(2~3ヵ月程度)。なお脱毛範囲が広い場合に治療をすることになりますが、その際はステロイド、ミノキシジル、カルプロニウム塩化物などの外用薬を使用していきます。上記の治療では改善が難しいという場合は、ステロイドの局所注射、光線療法(PUVA)、内服薬(ステロイド、免疫抑制薬 等)などを用いることもあります。

脂漏性皮膚炎

皮脂の分泌が過剰となっている部位に発生し、湿疹や痂疲、鱗屑などの症状がみられる状態を脂漏性皮膚炎と言います。男性に発症しやすいとされ、生後間もない乳児と思春期から40歳くらいまでの世代によくみられると言われています。発症しやすい部位は、頭部、顔面、腋の下などで起きやすく、かゆみなどはあっても軽度と言われています。

乳児期では、生後2~4週間後には発生するようになります。頭部やおでこに黄色っぽいかさぶたや紅斑などがみられ、かさぶたはボロボロと落ちるようになります。ただ多くは、1歳頃までに症状が治まるようになります。また思春期以降に発症するケースですが、男性ホルモンの一種であるアンドロゲンが皮脂分泌を過剰にしているとされ、それによって引き起こされるとも言われています。慢性的に頭皮からフケがポロポロ落ちるほか、頭皮の一部や胸、腋の下などが赤くなるなどしています。

同疾患では、確定診断のための検査をすることはあまりなく、視診などの診察によって診断されることが多いです。

尋常性白斑

後天性の色素脱失症で、境界をはっきり認識できる白斑です。尋常性白斑は、非分節型(神経支配領域とは関係なく白斑がみられる、顔面や体幹、手足や四肢の伸側部に左右対称で発症することが多い)、分節型(神経支配領域に一致して体の片側で白斑がみられる、顔面に発症しやすい)、未分類型(一ヵ所だけ限定的に発生した白斑)の3つのタイプに分類されます。

主な症状ですが、皮膚の一部が白くなります。痛みやかゆみなどの自覚症状はみられません。頭部に白斑があれば、その部位が白髪となることもあります。

掌蹠膿疱症

左右の手のひらと足の裏に膿胞(膿を含んだ水疱)や湿疹を繰り返す皮膚疾患になります。左右対称性でみられるのも特徴で、初期に小さな水疱が現れますが、間もなく膿胞になります。ちなみに膿胞の中は細菌などが存在しない無菌性です。そのため人にうつるということはありません。人によっては、かゆみの症状が現れることもあります。患者さんは、この状態を慢性的に繰り返すようになります。

発症の原因としては、扁桃炎や虫歯などが引き金となる病巣感染、喫煙、金属アレルギー(歯科)などが関係しているのではないかと言われています。

ほくろ、いぼ

ほくろとは

色素性母斑、あるいは母斑細胞母斑とも呼ばれます。母斑細胞の増殖によって起きるとされ、その大きさが1cm未満の場合にほくろと呼ばれます。1cm以上ある場合は黒あざと呼ぶこともあります。褐色や茶色、黒色など色はさまざま、形についても真っ平なものもあれば、いぼのように盛り上がるものもあります。

ほくろは先天性と後天性の2つのタイプがあります。先天性は生まれつきのほくろです。この場合は、増えるということはありません。ただ後天性のほくろについては、過度に紫外線を浴びるなど外からの刺激によって色素細胞が異常を起こすことで発生すると言われています。

基本的にほくろは良性腫瘍なので放置でも問題ありません。ただ皮膚がんの一種である悪性黒色腫と似ているので、区別がつかない場合は検査が必要です。この場合、ダーモスコピーや病理診断を行います。

いぼとは

いぼと聞けば、子どもによくみられるHPVの感染による尋常性疣贅がよく知られています。そのほかにも皮膚の老化が引き金となって発症するいぼもあります。これを老人性疣贅(脂漏性角化症)と言います。この場合、紫外線が当たりやすい部位(頭部、顔面、頸部 等)に起きることが多く、中年世代になれば大半の方々に見受けられるようになります。

主な症状ですが、最初はシミのような見た目でやがて表面はザラザラしていきます。大きさは数㎝程度(5㎜~2㎝程度)で、色は茶色、褐色、皮膚の色と遜色ないなど様々です。平たいものもあれば、隆起するものもあります。

なお見た目だけでは、皮膚がんと見分けがつきにくいことがあります。そのため必要な場合は検査(ダーモスコピー、皮膚生検 等)をすることもあります。いぼが急に大きくなった、いぼから出血がみられる、全身にかゆみを伴う皮疹が出てきたという場合は、皮膚がんや何らかの病気に罹患していることが疑われますので、速やかにご受診ください。

薄毛

男性型脱毛症(AGA)は、毛器官で発症する疾患の代表的なもので、男性ホルモン(アンドロゲン)が関係しているとされ、主に頭頂部と前頭部の毛髪が抜けてしまう状態を言います。

人の髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)というのがあって、髪が生え、抜けて、再び生えるといった周期(成長期、退行期、休止期)を繰り返しています。この周期は男性であれば3~5年で1サイクルと言われています。発症のしくみとしては、まずアンドロゲンの中のテストステロンが(Ⅱ型5α還元酵素によって)還元され、それによってジヒドロテストステロン(DHT、男性ホルモンの一種)となって、これが毛包の受容体と結合します。するとヘアサイクル(成長期)は次第に短縮し、だんだんと毛包が縮小、それによって前頭部と頭頂部の軟毛化が進み、やがて脱毛していくという流れになります。。

AGAは思春期以降から、時間をかけてゆっくりと進行することが多いですが、その程度というのは人によって異なります。早い方では20代前半で、その兆候がみられることもあります。その間にこれといった対応をしなければ、やがて薄毛が進み、脱毛化するようになります。

女性にも男性ホルモン(テストステロン)は分泌されているので、AGAと同様の症状がみられるようになります。これを女性型脱毛症と言います。この場合は頭頂部が広範囲に渡って薄くなるのですが、男性のように毛が抜けるということはありません。また発症時期に関しては、多くの女性が閉経を迎える更年期(45~55歳)にみられることが大半です。

キズアト

すり傷や切り傷、やけどなどで皮膚が剥がれてしまったケースだけでなく、以前のケガのキズアトで、ケロイド状(傷跡が盛り上がった状態)になっている、引きつれを起こしている、以前行った手術跡などを目立たなくするといった場合も当院で対応いたします。

ケロイド

ケガや手術による傷が治癒していく過程で、その傷を埋めていく組織というのが過剰に増殖してしまうことで、しこりのようになっている状態がケロイドです。表面に光沢を感じさせるやや赤いしこりが見られ、その端の部分はなだらかに盛り上がっていて、周りの皮膚は赤みを帯びています。

ケロイドは、傷の範囲を超えて進行し、周囲に拡大してしまうのが特徴です。。

なおケロイドには発症しやすいタイプというのがあるとされ、遺伝や何らかのアレルギー素因を持っている、あるいは内分泌ホルモンの異常といったことが原因で起きるとも考えられていますが原因は特定されていません。またケロイドを発症しやすい方の中でも、起きやすい部位というのがあり、胸部の中心部分、肩、上腕外側、背中の上部、下腹部など、皮膚の緊張が比較的強いとされる部位で発生する傾向にあると言われています。また、先に挙げたような手術やけがの痕だけでなく、にきび痕や自覚症状がなかった小さな傷でも発生することがあります。

糖尿病性潰傷

糖尿病は、基本的に血管と神経が障害される病気です。血管の中には、大循環と微小循環があって、そのどちらが障害されても虚血による壊死が起こって潰瘍につながることは理解しやすいことと思います。神経障害には、運動神経障害、自律神経障害、そして感覚神経の障害があって、それぞれがまた潰瘍に結びつく。最も多いのは、感覚障害があって、靴ずれができて本来は痛いけれども、神経障害のため痛みを感じにくく気づかずに歩き続けるとか、あるいはお湯が熱いのに、気づかずにやけどをするといったようなことがあります。また、運動神経の障害によって足が変形して、一定の場所に荷重がかかる。その荷重がかかり続けて、たこができる。しかし、患者さんは痛くないので歩き続けるといったようなことで潰瘍になる。さらに、自律神経の障害によって足が乾燥して亀裂ができて、そこが潰瘍になる。あるいは、微小循環の調節が自律神経で行われていますが、その影響で血流障害が起こって潰瘍になるということで、血管障害、神経障害ともに足の潰瘍につながることになります。また糖尿病の患者さんの独特な易感染性というものが加わって、足の潰瘍が重症になることがあり、足を切断することになる前の適切な治療が必要です。

静脈うっ滞性潰傷

下肢静脈瘤や下肢静脈還流異常により生じる潰瘍です。長時間の立姿勢や下腿浮腫が悪化の原因となります。下肢への静脈血鬱滞により血液の循環が障害されて治癒が困難となります。よく見られる皮膚の症状として足首の内側あたりの皮膚で炎症を起こし、湿疹とかゆみが出ることもあり、これを静脈うっ滞性皮膚炎と言います。さらに進行して治りづらいキズがみられると静脈うっ滞性潰瘍と診断します。根本的な原因が静脈の機能異常のため、弾性包帯や弾性ストッキングなどを用いた圧迫療法や場合によっては手術が必要です。

褥瘡

褥瘡(床ずれ)は、体のある部位が長時間圧迫されたことにより、その部位の血流がなくなった結果、組織が損傷されることです。「時間×圧迫の力」で褥瘡の重症度が決定します。
健康な方に褥瘡が起こらないのは、この二つの因子が生体に影響を及ぼして組織が損傷される前に痛みやしびれを感じるため、寝返りや座り直すなどして、体位を変えるからです。したがって、褥瘡を発症しやすい方は、長期間寝たきりを余儀なくされる方、糖尿病などの神経障害があって、痛みやしびれを感じない方、脳血管障害や脊髄疾患等で運動障害のある方、栄養状態が悪い方、高齢で皮膚が薄く弱くなっている方が挙げられます。
褥瘡ができる部位はほぼ決まっており、仙骨部、坐骨部、大転子部、踵部(足底)、腸骨稜部です。発症初期は皮膚の赤みが持続したり、腫れたり、水ぶくれができたり、表皮が剥がれたりします。重症になると浸出液が多くなり、細菌によって化膿し、組織が白くなったり黒くなったり(壊死)します。褥瘡の重症度分類は、日本褥瘡学会で定めたDESIGN-Rという分類があります。褥瘡は数時間と短い時間で発症しますが、治療は長い時間がかかる病気です。従って、予防が非常に大事です。褥瘡を発症した場合は、適切な治療をしないと発熱や倦怠感が出て全身状態が悪化しますので、形成外科の受診をお勧めします。

エキシマ光線治療

ターゲット型エキシマライト(フレクシス)

乾癬(尋常性乾癬、膿疱性乾癬)、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の患者さんにつきましては、エキシマライト(波長308nmのUVBを照射する)と呼ばれる紫外線光源による光線療法が行われます。

エキシマライトはナローバンドUVB(311±2㎚の波長域のUVBを照射)などと比べても輝度が高いことで知られています。また、同療法であれば治療したい部位にピンポイントで照射できるほか、照射時間も1ショットで数秒~数十秒程度と短くて済むので患者さんのご負担も軽減されます。また紫外線に含まれるとされる有害部分につきましてはフィルターでカットされる構造になっていますので、この点につきましても配慮した医療機器となっております。